チェロと歩む、平和への旅路(北村 陽さん)
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[ 2025.04.11 ]
ローム ミュージック ファンデーション奨学生の北村陽です。
ローム ミュージック ファンデーションの多大なるご支援のもと、ベルリン芸術大学に進学してから1年半が過ぎました。
<ベルリン芸術大学のオーケストラメンバーと>
イェンス=ペーター・マインツ教授のレッスンをはじめ、日本とは異なる視点からの授業や異文化の人々との交流から、曲の解釈や表現に大きな刺激を受けました。
大学のオーケストラ公演では、シューマン、エルガー、ドビュッシーを演奏し、何人かの指揮者によるご指導をいただきましたが、とりわけフランス人指揮者によるフランス音楽の指導が、拍の取り方や管楽器を基準にした音量のバランスなど、大変勉強になりました。
また、帰国している時には、桐朋学園大学ソリスト・ディプロマ・コースにて堤剛先生のレッスンを受講でき、最高の環境で学ばせていただいております。
昨年はエネスク国際コンクールで第1位をいただいたため、ヴァイオリン1位の金川真弓さんと、北チェコフィルハーモニー交響楽団とブラームスの二重協奏曲を演奏させていただきました。
ベルリン在住の金川さんとの音合わせでは、深い曲作りができ大変充実したものとなりました。
<北チェコフィルハーモニー交響楽団とブラームスの二重協奏曲>
またパブロ・カザルス国際賞のファイナル審査が、カザルスの生地、スペイン・カタルーニャのアル・バンドレイで行われ、第1位をいただきました。
私は、故郷への愛と平和への願いを込めて生き抜いたカザルスを音楽家としてはもちろん、精神の自由を求め続けた一人の人間として心から尊敬しています。
ファイナル前日には、カザルスの別荘を訪れ、彼の功績や精神について学びました。部屋から歩いて目の前の海辺に出ると、波の音がカザルスのチェロの音色のように聞こえ、なぜカザルスがあのようにバッハを演奏するのか紐解かれていくようでした。
私には音楽で世界を平和にするという夢があります。
カザルスの偉大なる精神に一歩でも近づけるよう、これからも頑張りたいと思います。
<パブロ・カザルス国際賞にて>