学んだことを研究に活かし実践する(横山 和美さん)
横山 和美さん/Ms. Kazumi Yokoyama
(専攻楽器ソプラノ/soprano)
[ 2024.11.1 ]
ウィーン私立音楽芸術大学、東京藝術大学大学院博士後期課程
ローム ミュージック ファンデーション奨学生の横山 和美です。
私はこの半年間、ウィーン私立音楽芸術大学に席をおきつつ、東京藝術大学での博士学位の取得に努めてまいりました。
<お世話になっている中島彰子先生と>
2018年より在籍している博士後期課程は、約2年のウィーン生活を挟んで今年度が最終年であるため、博士学位論文の執筆と学位審査演奏会の準備等で長く日本に滞在することとなりました。
私の研究テーマは、簡単に言えば、R.シュトラウスのオペラにおける音楽と言葉の関係性と、それを読み取ることで表現可能な演技術であり、
この研究には、現地で話されているような生きたドイツ語のディクションと、ウィーンおよびドイツ語圏におけるR.シュトラウスの音楽感、日本で学ぶだけでは体感することのできない様々な要素を必要としていました。
そのため、ウィーンの先生方の助力は必要不可欠であり、4月の学位論文提出から学位審査演奏会までは、オンラインで細かくディスカッションやレッスンをしていただきました。
<学位授与式にて>
学位審査演奏会では、R.シュトラウスのオペラから三つの作品を選び、抜粋上演を行いました。
三つともに、言葉が音楽を、音楽が言葉を表現する、言葉と音楽の結びつきが非常に強い作品であり、このようなオペラでは細かく音楽を読み解き、ドイツ語のニュアンスを理解しながら演奏することが適切な演劇的表現に繋がります。
私はあえて指揮者と演出家を立てず、大まかな動線のみを考え、あとは自身の解釈により、純粋な舞台演劇のようにシンプルなセットと演技で学位審査演奏会を実践しました。
<シンプルな舞台>
ウィーンで継続的に勉強させていただいた事を活かした舞台は良い評価をいただき、2024年9月に無事に博士学位を取得することができました。
このように、日本とヨーロッパの両教育機関で勉強を続けられたことはひとえにこの奨学金制度のお陰であります。
残り半年、この経験を大いにいかし、再びヨーロッパで挑戦と研鑽を続けていきたいと思います。