奨学生レポート RMFレポート ミュージックサロン インタビュー

この一瞬に耳を傾けながら(谷口 知聡さん)

谷口 知聡さん/Ms. Chisato Taniguchi
(専攻楽器ピアノ/piano)

[ 2024.11.5 ]

パリ国立高等音楽院

ロームミュージックファンデーション奨学生、ピアノの谷口知聡です。

奨学生として2年目の新学期を迎え、今年度も継続して御採択頂きましたことを心より感謝申し上げます。

 

在籍しているパリ国立高等音楽院では、今年新たに第三課程現代音楽科に合格し在籍する運びとなりました。

 

<昨年も聴きに来てくださった方々と ©Two Lost Voyagers>

 

 

この課程は合格した他のメンバーと共に一つのアンサンブル(Ensemble NEXT)として2年間活動を行うというもので、主に近現代のアンサンブル作品に取り組みながらフランスの主要現代音楽祭などにアンサンブルとして出演するという活動内容です。

メンバーは16人、面白く好奇心のある人達ばかりで一緒に切磋琢磨できることをとても楽しみにしています。

 

 

ソロの活動では、10月頭にイタリアの伝統ある現代芸術祭ヴェネツィア・ビエンナーレの音楽部門でリサイタルの機会を頂き、同じく2023年度奨学生でいらっしゃる小倉美春さんの30分(!)の新作とスペインの作曲家アルベルト・ポサダス氏による作品を弾かせて頂きました。

この大きな舞台で素晴らしい作品に携わらせて頂けたこと、そして現代音楽を第一線で牽引されてきた方々にもお聴き頂きお話し出来たことは、これから歩みを進める上で大きな糧となる貴重な経験となりました。

 

複数のプレスにも取り上げて頂き、イタリア国営ラジオ「Radio 3 Rai」でもライブ録音が放送されるとのことで大変嬉しく思います。

 

<ヴェネツィア・ビエンナーレ終演後、小倉美春さんと>

 

翌日は別の音楽祭でもクラシックの作品を軸としたプログラムでリサイタルをさせて頂きました。

昨年まで目先の不安に気持ちが向きリスクに備えた演奏になってしまうことが多かったのですが、会を重ねるごとに全身の感覚を開き、持ち得る限りの音楽性を持ってその一瞬一瞬の音と対話することを心がけ、徐々に良い変化を感じています。

 

<クリストフォーリ国際音楽祭でのリサイタル ©Two Lost Voyagers>

 

 

この貴重なお力添えを活かして今後プロとして活動していくための基盤を作れるよう、今年度も一心に精進してまいります。