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ベルリン2年目に入って(瀬 千恵美さん)

瀬 千恵美さん/Ms. Chiemi Se
(専攻楽器クラリネット/clarinet)

[ 2025.01.10 ]

ベルリンフィルハーモニー管弦楽団 カラヤンアカデミー

ローム ミュージック ファンデーション奨学生の瀬 千恵美です。

ご支援に恵まれて私のカラヤンアカデミーの研修は後半の2年目に入りました。

 

<室内楽ホールでモーツァルト協奏曲を演奏できた時の様子>

 

 

前半の1年には研修生の枠を超えてベルリンフィルのエキストラとしても多くのコンサートやツアーの機会を与えて頂き、世界的なオーケストラの真ん中で体当たりでで学べたことは言葉に尽くせません。

 

それまで経験の浅かった私は、リハーサルで全て理解しついていける自信がなく、あらかじめじっくり時間をかけてスコアの全ページを読み、過去の音源を聴いて自分のパートの立ち位置を測り、重要だと思ったことは印刷した楽譜にたくさん書き込んで緊張して臨みました。

 

現場では自分の音を周囲の奏者に聴かれていることをはっきりと感じる一方、演奏しながら周りの音を聴いてどうすればそこに自分がフィットするのか、色々試して探っていく場がリハーサルであることも知りました。

 

<いつもお世話になっているベルリンの楽器店>

 

当初は研修直前にようやく買うことができたドイツ管の個性をつかみ、自然な吹きごこちの中で音程を調整するために運指のバリエーションなどの研究も必要でした。

楽器を完璧にコントロールできるようにした上で音色の柔軟性と適応力も強く求められます。

 

とても優しい団員の皆さまですが、演奏に際して逐一全てを直接教えてくださる訳ではなく、言葉で言い表せない微妙なニュアンスに自分で気づく必要があります。

 

学校の授業とは違ってリハーサルが始まって3日目には本番がやってくるので、そのスピード感で気付きと変化とを積み重ねて信頼関係を築かねばならず、今でもその点にはとても気を配っています。

 

<木管楽屋にてマウスピースの試奏>

 

それでもコンサートの最終日には本番の緊張下で新たな発見がありとても刺激的です。

 

首席指揮者のキリル・ペトレンコ氏は1ヶ月かけて取り組んできた曲でも最後の公演まで緊張感のある繊細なリハーサルをします。

 

公演を重ねても現状を完成形として満足しない姿勢に学び、深く感謝して残りの研修期間をベルリンフィルの音楽を全身で吸収したいと存じます。

 

<ベルリンフィルでドイツ初演作を演奏した時の様子(デジタルコンサートホールより)>