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グラーツでの新たな日々と創作(室元 拓人さん)

室元 拓人さん/Mr. Takuto Muromoto
(専攻楽器作曲/composition)

[ 2025.03.28 ]

グラーツ国立音楽大学

ロームミュージックファンデーション奨学生の室元拓人です。
日頃よりご支援を賜りまして、ありがとうございます。

 

今学期よりグラーツ国立音楽大学に在籍しています。

 

<グラーツで行われたコンサートの様子>

 

 

自然豊かな環境もさることながら、現代音楽に対する熱量が高く、クラングフォルム・ウィーンをはじめとしたプロの現代音楽アンサンブルとのコラボレーションにも魅力を感じ、進学を決めました。

午前中は語学学校に通っており、創作や研究との両立は大変な面もありますが、夜や週末に行われるコンサートではヨーロッパの最先端の音楽に触れられる機会が多く、この環境をいかして研鑽を積んでいきたいと考えています。

 

<グラーツ国立音楽大学の構内>

 

 

さて、グラーツで最初に書き上げた作品は、室内オーケストラのための《烏滸の火縄》です。
三重県尾鷲市に伝わる「オコゼ笑い祭り」という奇祭からインスピレーションを得たこの作品では、さまざまな現代奏法や100均グッズと楽音のミクスチャー、さらにお祭で実際に登場する台詞の発話など、これまでとは少し違った切り口で創作しました。

 

現代の作品のように、さまざまな奏法を用いていると、創作過程やリハーサルでの演奏家との協働作業がとても重要になります。

ノイズ(現代奏法)と楽音の音量バランスや、視覚的にどのように魅せるかということなど、現場で奏者の皆さんと議論を重ねながら創りあげていきました。

 

初演してくださった指揮者の飯森範親氏、いずみシンフォニエッタの皆さんに改めて感謝申し上げます。

 

<制作風景。《烏滸の火縄》では、ポップチューブや醤油タレビンを楽器として用いた。>

 

 

春学期は6月に学内で作品を発表するほか、4月と7月にはバルセロナにてアンアンブル・オルビスに作品を演奏していただきます。

教育機関以外での海外初演は初めてとなりますが、演奏家や作曲家との新たな出逢いを楽しみに、主体的に取り組んでいきたいと思います。

 

 

次回のレポートで、活動の様子をご報告いたします。

引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。