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100キロ先の「当たり前」に思いを馳せて(望月 晶さん)4/7

望月 晶さん/Ms. Aki Mochizuki
(専攻楽器ピアノ/piano)

[ 2024.04.23 ]

桐朋学園大学大学院修士課程

ロームミュージックファンデーション奨学生の望月晶です。

 

桐朋学園での学びも十年目に突入し、いよいよ今年が学生最後の一年間となりました。

 

<大阪いずみホールにて>

 

 

修士課程に在籍した三年間は、演奏家としての独り立ちの期間とも言える大切な時間でした。

その転換期を、心身ともに充実した状態で過ごすことができたのは、RMFの皆様のあたたかいご支援あってのことでした。

心より御礼申し上げます。

 

 

この半年間は、「音楽活動」とは何かについて、自分の中で改めて咀嚼をしていました。
これまでは、舞台上で演奏を披露することが意味合いの大半を占めていたのですが、昨年末から携わらせていただいている、地域活性化を目的とした小規模なコンサートやアウトリーチを通して、生活と音楽の関わりについて考えるようになりました。

 

私にとって、音楽は日々の生活の中に当たり前に溶け込んでいるものであり、思い立った時に気軽にコンサートに足を運ぶことができます。

しかし、日本国内においても、生の音楽に触れる機会が豊富な地域は案外限定されているもので、私たちの「当たり前」は100キロ先の地域の「当たり前」とは違うのだという気づきは衝撃的でした。

生活は地域によってそれぞれ尺度が異なり、音楽もまた、その尺度に寄り添った形で根付いていることを感じました。

 

それからは、地域や聴き手の年代の尺度にできる限り寄り添ったプログラムを考え、音楽を届ける活動をしています。

 

<高知県梼原市『雲の上の図書館』にて>

 

 

音楽は、私にとってコミュニケーションツールへと変容しつつあるのかもしれません。

言語はキャッチボールと言われますが、音楽も相手の状況を鑑みた音楽的言語選びがなされていることが、伝わることの前提であるように思います。

 

学びが中心である学生期間から、音楽を届け、伝える立場になる社会人への過渡期において、これからの音楽との関わり方を考える機会を得たことは、内的ながらも大きな出来事となりました。