小林美樹さん、佐藤麻理さん、杉本優さんにインタビューしてきました!
インタビュー
[ 2014.03.25 ]
2014年3月8日に開催される「神奈川フィル フレッシュ コンサート Vol.8」に指揮者、ソリストとして奨学生3名が出演するということで、3月6日のリハーサル後、インタビューをしてきました!
今回のコンサートに出演されるのは、ヴァイオリンの小林美樹さん(2013年度奨学生)、ピアノの佐藤麻理さん(2013年度奨学生)、指揮者の杉本優さん(2012、2013年度奨学生)の3名。
今回の出演者3名は全員がウィーンの音楽大学で学ばれており(意図的ではなく偶然とのこと!)、ウィーンでの様子やコンサートに向けての意気込みをお伺いしてきました。
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<プロフィール>(以下、敬省略)
小林 美樹
2011年、5年に一度ポーランドで行われる第14回ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリンコンクールにて第2位を受賞。同年11月にはショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番(飯守泰次郎 指揮 東京シティ・フィル)ほかでオクタヴィア・レコードよりCDデビュー。現在ウィーン私立音楽大学に入学し、パヴェル・ヴェルニコフ氏に師事。ローム ミュージック ファンデーション2013年度奨学生。
東京芸術大学を経て2007年よりウィーン国立音楽大学ピアノ室内楽科に在籍。第2ディプロムを最優秀の成績で取得し、現在ウィーン国立音楽大学修士課程に在籍中。2012年にオーストリアで行われた第19回ブラームス国際音楽コンクールピアノ部門では、1次予選から全てトップの成績で通過し、第1位受賞。ローム ミュージック ファンデーション2013年度奨学生。
1990年京都生まれ。2012年よりウィーン国立音楽大学ピアノ室内楽科に在籍している。ローム ミュージック ファンデーション音楽セミナー指揮者クラスに参加し、小澤征爾、湯浅勇治、三ッ石潤司各氏に師事。2013年3月、鎌倉芸術館にて小澤征爾音楽塾特別演奏会を指揮。9月サイトウ・キネン・フェスティバル松本の青少年オペラ「ヘンゼルとグレーテル」を指揮しオペラデビューも果たしている。ローム ミュージック ファンデーション2012、2013年度奨学生。
Q.今日が初めてのリハーサルだったようですね。いかがでしたか?
杉本:出来た所と出来なかった所、課題がありましたがオケの方が助けてくれました。その課題をこれからのリハでどれだけ消化出来るかが勝負だと考えています。
小林さんと佐藤さんは初めての共演ですが、すごい嬉しいですね。二人とも同い年か年下の指揮者と共演するのは初めてだと思う。年齢が近くてレベルの高い人と一緒にリハーサルをすることで、これからの自分の勉強に大きな糧となっているし、刺激になっています。
小林:地元のオーケストラとの共演で、楽しみにしていました。指揮者が杉本優さんとお聞きして、どなたかな?と思いました。(笑)ピアノがとても上手で、指揮も素晴らしいとお聞きして、しかも同い年とわかって驚きの連続でした。
同じウィーンに住んでいながらお会いしたことは初めてなんです。
佐藤:私も地元の神奈川フィルハーモニー管弦楽団と共演のお話を頂いて、二つ返事で「はい」と答えて、しかも指揮者が杉本くんとお聞きして驚きました。ウィーンで同じ先生からピアノを学んでいる方と、このような機会が実現するのかと(笑)
オーケストラと共演させていただく機会は少ないし、指揮は杉本くんなので本当に楽しみです。
Q.全員がウィーンで学ばれていますが、日本では学べないことやウィーンでの良いところをそれぞれ教えてください。(小林さんは3年、杉本さんは2年、佐藤さんは6年ウィーンに留学中)
杉本:では一番ウィーン歴が長い佐藤さんからどうぞ(笑)
佐藤:今師事しているアヴォ先生の音楽観が好きで、彼に学びたいと思ったのがウィーンに行ったきっかけです。ウィーンの良いところは環境の良さです。例えばレッスンで先生の素晴らしい音楽に何か感じたものがあっても、日本だったらレッスンが終わった後に地下鉄に乗ったり、人ごみの中を行ったりすることで、レッスンで感じた物が薄れてしまうんです。それを思い起こすことは結構大変な作業で…。
杉本:騒音が日本は多いよね。
小林:確かに。
佐藤:ウィーンは建物の雰囲気や市電ののんびりさも良いし、全ての環境がクラシック音楽を学ぶことに適していると思います。
杉本:時間に制約が無いのがいいよね。
佐藤:コンサート後も余韻に浸って帰ることが出来ます。また、世界一流の音楽家の演奏会が連日あって、立ち見でかなり安く聴きに行けるのも魅力ですね。
小林:私がウィーンに行ってびっくりしたことは、レッスンの時に必ずピアニストが付いてくることです。日本では一人でレッスンを受けることが多いですが、ウィーンではピアニストが一緒にレッスンを受けることは当たり前。考えてみるとソナタを勉強する時にピアニストと一緒でなければレッスンにならないと思いました。
杉本:日本ではピアノのソロ科しかないけど、ウィーン国立音楽大学ではピアノだけでも室内楽科、リート(歌の伴奏)科、コレぺティ科等があり、ヴァイオリンでもソロとは別に室内楽科があり、色々なことが学べる環境が整っていますね。
佐藤:室内楽は日本よりメジャーかな。
杉本:あと、ウィーンはドイツ語圏ですが少しでもドイツ語をしゃべる環境にいることは音楽に影響しているんじゃないかなと思います。ドイツ音楽といえば重厚なイメージが強いと思いますが、それはやはり言葉からきていると思いますし、向こうに住んでみないとわからないと思います。
Q.杉本さんは小澤征爾さんの指導を何度か受けていらっしゃいますが、そのことで今回の演奏に活かせたことはありますか?
杉本:毎回毎回言われるのが、「耳で指揮しろ」ということです。これは聴く体勢をオーケストラに見せることが大事ということで、今日のリハーサルでもそれは感じました。
Q.現在ウィーンではピアノ専攻で在学されていますが、今後はピアノと指揮の活動をどうされるのでしょうか?
杉本:比率としては指揮をメインに勉強していきたいですが、ピアノで学ぶことも多いです。今師事しているピアノのアヴォ先生がピアノで様々な音を出してくれるので、それは指揮にも役立っています。
Q.小林さんはヴァイオリニストに限らず、今までに影響を受けた演奏家はどなたかいらっしゃいますか?
小林:オランダ人のヴァイオリニスト、ジャニーヌ・ヤンセンさんという方です。
佐藤:あー!
杉本:めっちゃ好き!
小林:実はYOUTUBEでその人の演奏を見ることが出来るんです。(笑)指使いや弓使い一つで演奏がかなり変わるので、それを気軽に見ることが出来るのは、今のこの時代だからこそなので得だなと思います。
私が弾くモーツァルトの曲の演奏もYOUTUBEにあって、本当に素晴らしいんです!
Q.小林さんは将来「ステージに立ち続ける演奏家」になりたいとお聞きしましたが、それはどのような演奏家でしょうか?
小林:やっぱりコンクールで優勝したとしても、その後が大事だと思うんです。ステージに立ち続ける演奏家というのは少ないと思いますし、それは難しいんだと思います。ステージ立ち続ける演奏家はお客さんから求められているからだと思うし、皆さんに聴きたいなと思ってもらえるそんな演奏家になりたいです。
Q.佐藤さんが影響を受けた演奏家はどなたかいらっしゃいますか?
佐藤:一番は今師事しているアヴォ先生です。先生としても素晴らしいですし、レッスンの時に隣で弾いている一音一音を聴くとあまりのレベル差で落ち込でしまうぐらい素晴らしいんですよ!その域に近付いて、プラスアルファで自分らしい演奏も出来るようになればいいと思っています。今いるプロの方のようになりたい、というよりは自分が納得いくまで求める演奏が出来るようになりたいです。
Q.佐藤さんは大学で室内楽科に在籍されていますが、どのような事を学んでいるのですか?
佐藤:カリキュラムが6年あって、先生の方針で4年はソロを中心に学び、その間に出来る範囲でデュオとかトリオから始めます。室内楽といえどピアノがちゃんと弾けないと話にならないので、エチュード等基礎からしっかりやります。
Q.どんなデュオやトリオをやるんですか?
佐藤:ヴァイオリンだったり、管楽器だったり様々ですね。何でもいいんですが自分で音楽的、人間的に合う人を探すんです。
杉本:日本とは逆ですね。伴奏者から伴奏する相手を探す。
佐藤:そうなるとお互いに伴奏と思ってちゃいけないんです。お互いが主役みたいな。そうでないと音楽にならないので、先生にはよく伴奏するな、と言われますね。
Q.それでは、本番への意気込みをお願いします。
佐藤:この機会をいただけたことは本当にうれしくて、すごく楽しみなんです。やはり地元での演奏会なので多くの方に聴いていただけますし、今の自分の演奏を聴いてもらってまた聴きたいなと思える演奏会にしたいと思います。
小林:チラシに「巨匠ヴェンゲーロフが称賛した豊麗でパッショネートな音色」とものすごいキャッチコピーを付けられてしまった(笑)ので、それに負けないような演奏をしたいです。モーツァルトも大好きなので地元の皆さんに聴いてもらえるのは嬉しいですし、緊張はしていますが楽しみです。
杉本:指揮者もソリストも若いし、コンサートタイトルの「フレッシュ コンサート」という名前の通りフレッシュな演奏するには今のこの組み合わせじゃないと出来ないのかな、と思います。背伸びして何かをやるつもりはないし、僕自身も課題は多いので、今出来ることを試してお客さんに聴いてもらって楽しんでもらえたらいいなと思います。
<最後にコンサートのチラシと同じ配置で撮影!>
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インタビューは3人が和気あいあいとしながら、和やかな雰囲気で終わりました。
若い音楽家といえど一人の音楽家であり、しっかりとした考えを持って音楽に向き合っていることを感じました。
このインタビューの2日後の3月8日の本番では、多くのお客様に若い音楽家の演奏を楽しんでいただき、温かい拍手で演奏会の幕が閉じました。
これからの3人の活躍が楽しみです!
(コンサート写真撮影:藤本文昭)