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博士論文とコンサート活動(喜多宏丞さん)

喜多 宏丞さん/Mr.Kousuke KIta
(専攻楽器ピアノ/piano)

[ 2014.12.22 ]

学校名:東京藝術大学大学院博士課程

ローム ミュージック ファンデーション奨学生の喜多宏丞です。
4月からご支援をいただき、半年が経ちました。この半年間は、演奏活動とティーチングアシスタントに加えて、博士論文の執筆も進めていく期間だったので、時間配分や頭の切り換えが重要な課題でした。

博士論文完成


4月には、天理市音楽芸術協会のファンシーコンサートに出演した後すぐ移動して、橿原音楽協会の橿の木コンサートにも出演する、という強行スケジュールの一日もありました。

 

5月には、ミュージックカフェ・アンジェスでリサイタルを開催し、博士研究でもメインとなるフランクの交響曲のピアノ独奏編曲を初めて全楽章通して演奏しました。

オーケストラの大作を一人で弾き切るのは体力的にも精神的にもかなり大変で、終演後はしばらく動けませんでしたが、ピアノという楽器が持つ無限の可能性の一端を感じてもらえるような、良い演奏会になったのではないかと思います。
6月には、コンクールの副賞としてイタリアのイスキア島でリサイタルをさせていただきました。

リスト作曲「波の上を歩くパオラの聖フランチェスコ」を「聖フランチェスコ教会」の聖フランチェスコの大きな肖像画の真下で演奏する(写真)、という幸運な偶然にもインスピレーションを得て、日本で練習しているだけでは出来なかったかもしれない、とても表情豊かな演奏ができたように思います。

 

イタリア「聖フランチェスコ教会」でのリサイタル

<イタリア「聖フランチェスコ教会」でのリサイタル>

 
夏休みは、博士論文の中間発表会に始まり、リスト音楽院マスターコース(アトリウムコンサートと受講生選抜演奏会にも出演)、アルティでの堀川音高の恩師のピアノコンサート、ハンカヤ先生の公開レッスン(とそのクロージングコンサート)、さらにその合間にアジア国際音楽コンクール(1位受賞)、横浜国際音楽コンクール(グランプリ受賞)にも参加し、とても充実した期間でした。
9月には、ひびきの郷週末コンサートと奈良新聞「雑記帳の集い」の例会で、トークコンサート「音楽の玉手箱」を開催しました(写真)。

 

奈良新聞例会「音楽の玉手箱」コンサート

<奈良新聞例会「音楽の玉手箱」コンサート>

 

①ピアノの詩人ショパン

②ピアノで聴く交響曲

③音楽パフォーマンス「ハイドンのユーモア」~音楽とマジックのコラボレーション

④音楽の不思議コーナー~日本歌曲とそっくりなメロディを持つピアノ曲とは?!

という4部構成で、音楽の魅力を色々な角度から楽しんでいただける、楽しいコンサートになったと思います。

奈良新聞のコンサートの直後には、普段文章を書いておられる方々の例会だけあって、新聞の投稿欄「雑記帳」にも取り上げていただき、また沢山の方からお手紙もいただきました。
10月3日には、ついに博士論文『セザール・フランク:ピアノ書法の分析に基づくオルガン作品及びオーケストラ作品のピアノ独奏編曲』を提出しました。

本編が約500枚、別冊の編曲楽譜が約100枚で、それぞれ4部提出しないといけないのですが、刷り上がってみると、とてもカバンで持って行ける量ではないことが判明し(写真)、急遽タクシーを呼ぶことに…。博士論文(と楽譜)は、来年にインターネットで公開される予定です。

 

博士論文完成

<博士論文完成>

論文は完成しましたが、僕の研究テーマ(ピアノ編曲)は演奏あってこそのものなので、ここからは、学位審査の博士リサイタルに向けて演奏の完成度を上げていく、という、ある意味論文以上に大切なプロセスに入っていくことになります。

 

 


論文の量、ものすごいですね!お疲れさまでした。 また、マジック付きの演奏会も続けていらっしゃるのですね。ぜひクラシック音楽は敷居が高い…と思っていらっしゃる方々にもその素晴らしさが伝わるような活動を続けていってください。