ブリュッセル王立音楽院 修士課程1年目を終えて(千葉水晶さん)
千葉 水晶さん/Mr.Mizuki Chiba
(専攻楽器ヴァイオリン/violin)
[ 2017.08.28 ]
学校名:ブリュッセル王立音楽院
ローム ミュージック ファンデーション奨学生の千葉水晶です。
ブリュッセル王立音楽院は夏休みに入りました。
<KBCニューイヤーコンサート>
ベルギーは長い冬が終わり、春の訪れを感じたと思ったのも束の間に猛暑が続いたりと、日々の温度差が大きく日本のようにエアコンがないので体調にも気遣う毎日です。
小さい頃から独奏の勉強ばかりだった僕にとって、この半年は今までそれほど深くは学んでこなかった音楽の部分をもう一度勉強し直したような、貴重な体験の連続でした。
ブリュッセル王立音楽院のニューイヤーコンサートから始まった今年は、1月、2月とオーケストラのコンサートが続き、リハーサルの毎日で自分のヴァイオリンの練習をする時間が充分に取れずに苦労しました。
ニューイヤーコンサートではコンサートマスターに抜擢して頂き、大役を果たせるように身の引き締まる思いで頑張りました。
コンサートマスターは皆を引っ張っていくために、事前にスコアを頭に入れ全部の楽器の動きを把握していなければならず、バルトークやドビュッシーの曲は思った以上に難しくコンサートマスターが想像以上に大変な役割である事を実感しました。
また、この半年には2度の室内楽の試験もあり、今まで経験した中では最も人数の多い6重奏曲を勉強しました。
6人の音が重なっていく楽しさは大きいものでしたが、テンポの揺れや音のバランスが難しく、また音楽性について1人1人が違う意見を主張した時の困難もありました。
何度も練習を重ね、話し合いを経て、最終的には全員が満足のいく演奏が出来たことはとても大きな喜びとなり、6人で合わせて音楽を作るという経験も大変貴重なものになりました。これからの音楽活動において室内楽にも益々意欲的に取り組んでいきたいと改めて思いました。
<プロコフィエフ – ヘブライの主題による序曲>
4月には小さい頃からの大恩師である辰巳明子先生の古希のお祝いのコンサートで、NHK交響楽団のメンバーをはじめとする桐朋学園の同窓会で作られたオーケストラと東京オペラシティで共演させて頂きました。
各方面で活躍されている素晴らしい先輩方と出会うことができたことは、大変光栄であり貴重な経験になりました。
本番の演奏は緊張で震えることも多いのですが、このコンサートでは楽しい先輩方によって始終和やかな雰囲気を作って頂き、緊張よりも本当に音楽の楽しさを感じることができ、自然と良い演奏が出来た事に驚きました。
またコンサートでは、昔からともに音楽を勉強してきた沢山の友人やお世話になってきた桐朋の先生方、知人と久しぶりにお会いし、近況を話し合えた事も嬉しかったです。
音楽は狭い世界ですので、これからも様々な場所でずっと関わりを持ちながら一緒に音楽を作っていく大切な仲間なのだと思っています。
<オペラシティでのリハーサル風景>
コンサート終了の数時間後のフライトで慌ただしくブリュッセルへ戻り、翌日には実技試験、さらに室内楽の試験というハードなスケジュールでしたが、全て無事に終えることが出来てホッとしています。
今後しばらくは、コンクールへの挑戦と学校の試験に追われる毎日になっていきますが、全ての貴重な経験が、より一層良い演奏に繋がるように日々精一杯の努力を続けていきたいと思います。
多大なご支援を頂き、このような勉強を続ける機会を頂けた事に大変感謝いたします。