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最終レポート(松島理紗さん)7/2

松島 理紗さん/Ms.Risa MATSUSHIMA

[ 2020.08.21 ]

ローム ミュージック ファンデーション奨学生の松島理紗です。

夏真っ盛りのウィーンです。

<ウィーン国立歌劇場前>

 

9月から始まったウィーンでの留学生活もあっという間に1年が経とうとしています。

つい半年前にはまさか世界がこのような状況になってしまうなど思いもしませんでしたが、あっという間にヨーロッパにもウイルスが拡大し、オーストリアは3月15日にロックダウンに入りました。

大学院の授業やレッスンなどは9月の新学期開始まで全てオンラインで行うことが早々に決定され、生活面ではライフラインであるスーパーやドラッグストア、薬局などを除く全てのお店が閉められました。

ウィーン在住の日本人の友人らは3月中にほとんど全員が日本へ帰国しましたが、私はウィーンに留まることにしました。

幸いなことに、声楽家は身体さえあればどこにいても練習することができますし、オンラインでの大学院の授業や実技レッスンも質の高いものでしたのでロックダウン中も困ることはありませんでしたが、5月に公演予定だったオペラや7月に予定されていたリサイタルなど、多くの本番が延期あるいは中止となったことは非常に残念でした。

この空白期間を、これまで忙しくてなかなか時間が確保できなかったドイツ語の勉強にあて、ロックダウンの空白期間を有意義に使うことができました。

 

<ウィーン国立歌劇場>

 

オーストリアのコロナ政策は世界的に高い評価を受け、感染拡大がヨーロッパで一番早く収まったことから6月に入るとウィーンには次第に日常が戻りました。

観客100人以下のコンサートが開催可能となり、わずかながら音楽家の仕事が戻ってきたように感じます。

 

6月7月は怒涛のオーディションの日々で、ウィーン国立歌劇場でのオーディションをはじめ、国際的な大舞台にむけてのオーディションに多く参加させていただきました。

なかでも非常に貴重な体験だったのは、ウィーン国立歌劇場のドミニク・マイヤー総裁に歌を聴いていただき直接個人面談のような形でフィードバックをいただいたことです。

その時かけていただいた、あたたかく芯のある言葉が心に深く刺さり、忘れられない思い出となりました。また同時に国際的な歌手の世界の厳しさも身をもって実感しました。

 

<ウィーン国立歌劇場楽屋口>

 

<舞台袖>

 

<ヤング・アーティスト・プログラムの張り紙>

 

コロナ危機は、なぜ音楽をするのか改めて考える機会となりました。

私は次の世代にクラシック音楽を伝承していくのが自分の役割だと思っています。

脈々と受け継がれてきた数百年の西洋音楽の歴史を受け継ぎ、新たに生み出すことへ常に関心を寄せていたいと思います。

今年11月には子供のころからの夢であるウィーン・モデルン現代音楽祭にて初演演奏をさせていただく機会もいただいており、現代音楽での活動をさらに広げていきたいと思います。