ウィーンフィル・サマーアカデミーでのオペラデビュー(松島理紗さん)2/1
松島 理紗さん/Ms.Risa MATSUSHIMA
(専攻楽器ソプラノ/soprano)
[ 2021.05.10 ]
学校名:ウィーン市立音楽芸術大学大学院オペラ科
ローム ミュージック ファンデーション奨学生の松島理紗です。
日頃よりご支援を賜り誠に有難うございます。
2020年初夏に行われたオーディションに合格し、ウィーンフィル・サマーアカデミーのオペラ公演「ドン・ジョヴァンニ」ドンナ・アンナ役にてオーストリアでのオペラデビューが決まりました。
<ドン・ジョヴァンニ 1幕2場 稽古の様子>
このアカデミーAngelika-Prokopp-Sommerakademie der Wiener Philharmonikerは優秀な若手演奏家を育てるため2009年に創設され、多くのオーケストラプレーヤーを輩出しています。
オペラ公演の指揮者およびキャストはオーストリア国内の全学生を対象としたオーディションから選ばれ、幸運にもドンナ・アンナという大役をいただきました。
<ドン・ジョヴァンニ1幕2場の衣装合わせ>
週1回のCovid-19テストや稽古場と家の往復以外外出しないことなど様々な対策のうえ稽古は進みましたが、プレミエを10日後に控えた9月半ばCovid-19拡大の影響を受け公演延期が決まりました。
2021年2月グラーツ楽友協会にて無観客オペラ撮影、それに加え2021年9月にオーストリア数カ所を巡るツアー公演を行うことになり、通常ひと夏で終わるものを1年かけてじっくり勉強できる好機をむしろ有難く思っております。
2月にグラーツ楽友協会で撮影したものはCDとDVDになりオーストリア公共放送ORF3にて後日放送されます。
撮影にはウィーン国立歌劇場公演の撮影チームと機材が入ります。
このプロダクションで出会った素晴らしい同世代の歌手達はすでにヨーロッパを中心に活躍しており、毎日様々な刺激を受けました。
あまりのレベルの高さと大役へのプレッシャーから自信を喪失することもありましたが、その度アカデミーの音楽監督Michael Werba教授からいただいた「僕たちはずっと君を探していた。理想のアンナだ」という言葉を思い出しました。
また演技の壁にあたり中嶋彰子先生に助けを求めた時にいただいたアドヴァイスでどれほど救われたことか分かりません。
<2020年10月ウィーン国立歌劇場モーツァルト後宮からの逃走、食堂で出番待ち。>
<2021年1/21大学院試験>
長いロックダウン中ドン・ジョヴァンニやモーツァルトに関するあらゆる本を読み、演奏スタイル・道徳・宗教・政治など様々な面からこのオペラを見て知見を広めてきました。
2020年は半年以上をひとりきり部屋で過ごしましたが、演奏することができないことを悲しむ暇もなく語学の勉強や発声の改善など有効に時間を使うことができたと思います。
大勢の観客の皆様の前で再び演奏できる日が待ち遠しいです。
引き続き精進して参ります。
<万礼節の日に花を持って訪れたモーツァルトのお墓。この日の夜にウィーン中心地でテロがありました。>