1人の作曲家と対峙すること(進藤実優さん)8/31
進藤 実優さん/Ms.Miyu Shindo
(専攻楽器ピアノ/piano)
[ 2021.10.25 ]
学校名:モスクワ音楽院付属中央音楽学校
ローム ミュージック ファンデーション奨学生の進藤実優です。
いつも多大なるご支援を賜り心より感謝申し上げます。
初めての中間報告をさせて頂きます。
<ショパンコンクール予備予選>
ご支援を始めて頂いた2021年4月から卒業の6月末まで、私はモスクワ音楽院付属中央音楽学校に在籍しておりました。
コロナウイルスの流行により、家からリモートで授業に参加する形となってしまいましたが、和声学、音楽史などはよりスムーズに参加することが出来ました。
特に形式のアナリーゼ学では、フレーズや和声進行によって工夫が凝らされた楽譜の「本当の姿(裸の状態)」をどのようにして見つけるのか、ということを習いました。
またピアノの授業では、家で録った録音を師事していたヴァレリー・ピアセツキー先生に送り、先生からアドヴァイスを頂きました。
先生の演奏されるピアノの音を隣で聴くことが出来ないのがとても悔しいのですが、以前よりも楽譜を深く読み、作曲家、そして音楽について深く考えるようになったと思います。
7月には第18回ショパン国際ピアノコンクール(ワルシャワ)の予備予選に参加し、無事に10月に行われる本大会への出場が決まりました。
2019年秋頃からレパートリーを準備してきましたが、2020年開催の予定がコロナウイルスの流行により1年延期となってしまいました。
ですが、この延期期間では、もう一度楽譜を読み直し、全く新しい解釈を見つけることもありました。
コンクールのレパートリーだけでなく、ワルシャワ時代に書かれたポーランド臭漂う作品(ワルシャワ時代には、ポーランドの舞踏や民謡をモチーフにした作品が数多く作られた)、若い頃からパリに移り住み生涯書き続けた歌曲も知れたことにより、フレデリック・ショパンという人物が少し近づいてきてくれたような、そんな気がします。
<ショパンコンクール本選会場>
8月にはピティナ・ピアノコンペティション特級に参加し、銀賞・聴衆賞を頂くことが出来ました。
ファイナルでは、憧れのサントリーホールでショパンのピアノ協奏曲第1番を演奏しました。
コロナ禍でこのような大舞台で演奏させて頂けることが数少なかったために、リハーサル時に自分の音が会場の一番後ろまで響いていないことに気づきました。
本番ではその反省を思い出し、ピアニッシモでも後方まで響くように、意識しました。
ピアノから出た音を耳で追うのではなく、ホールに響いているものを聴くように、これから意識しなければいけない、と思いました。
<ピティナサントリーホールにて>
10月のショパン国際ピアノコンクールまであともう少しですが、自分の思うショパン像というものを最後まで追求し続けたいと思います。
コロナ禍で舞台に立つ今、お客様の前で演奏させて頂けることの有難さ、大切さを身に染みて感じております。
ホールでお客様と音楽を共有できることへ心から感謝しながら、これからも頑張りたいと思います。
最後までお読みくださりありがとうございました。