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学術[音楽学]と実技[ファゴット]の両立(保崎 佑さん)9/29

保崎 佑さん/Mr. Yu Hozaki
(専攻楽器ファゴット/Bassoon)

[ 2022.10.7 ]

東京音楽大学大学院 音楽研究科博士後期課程

ローム ミュージック ファンデーション奨学生の保崎佑です。

現在は、東京音楽大学大学院博士後期課程に在籍しており、RMFのご支援のおかげで経済的に何不自由なく、学術と実技の両面で学業に勤しむことができております。

それと同時にコンクール、オーディションや挑戦しながら、エキストラの仕事も多用の中頑張っています。

 

<学位演奏会の様子>

 

 

私は、修士課程及び博士後期課程で18世紀ボヘミアのモルツィン伯爵に仕えていた音楽家のファゴット協奏曲をテーマに研究を続けています。

博士課程3年目は博士論文と学位審査演奏会という重要な課題があり、7月23日に、東京音楽大学中目黒・代官山キャンパスにあるTCMホールで、博士論文で実際に考察対象にしている作曲家のファゴット協奏曲を含む4作品を、18世紀のボヘミアの宮廷楽団の編成を想定して演奏しました。

 

演奏に使う楽譜は自筆譜や手稿譜を浄書し、日本初演という形で歴史的作品を発表し、私の集大成を学内外の審査員とたくさんのお客様に披露することができました。

毎年「博士リサイタル」としてこれまでに2回ほど、プロの音楽家を雇って研究成果を発表していますが、何から何まで全部1人で企画、準備、演奏、管理を行うので、「演奏会」を1つやることがどれだけ大変なことも3年間を通して勉強しました。

華型ではないファゴットという楽器を通して音楽文化に貢献できたと実感があった反面、ここまでの道のりは大変でしたが、日本初のファゴットでの博士号取得もあと少しというところです。

博士論文の予備審査も9月末に提出することができ、今は査読されている最中です。

 

<学位演奏会の共演者とご来場の同級生>

 

 

オフの日には、ジムでプロのコーチをつけてトレーニングしたり、心身の健康にかなり気を使っています。

ある程度の音楽家ならば、体調管理や精神的な健康を保つことを徹底し、いつでも具合良く本番を迎えることが大事だとこの頃強く感じております。

最近は、有難いことに本番が多く、短い時間で効率よく練習することが課題であり、RMF採用式の後に行われたアーティスト研修会で学んだ知恵を活かしています。

練習、研究や仕事、いずれも忙しい中こなさなければ博士号を取った後にプロとして生活ができないと自分に言い聞かせながら、1月の博士論文本審査に向けながら、実技の面でも精進してまいります。