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大学卒業を迎えるにあたって(柴田 花音さん)3/4

柴田 花音さん/Ms. Canon Shibata
(専攻楽器チェロ/cello)

[ 2023.03.14 ]

トロント王立音楽院グレングールドスクール

ロームミュージックファンデーション奨学生の柴田花音です。

いつもご支援・応援頂き有難うございます。

 

3月となり春を迎えるはずですが、留学先のトロントでは今日も20cmの雪が積もる予報です。

留学4年目となる今年は氷点下の寒さに少しだけ慣れてきたようにも感じます。

 

 

そんな私もあと数ヶ月でいよいよ大学を卒業する事となります。

これまでの4年間を振り返りますと、あっという間でしたが兎に角多くの学びがあった期間であったように思います。

 

最初は英語もままならない中、知り合いも、学校に日本人もいないままとにかくトロントに飛び、1人で街を歩きアパートを探す所から始まりました。トロントはカナダ人の保証人がいない限り家賃一年分を前払いしないといけないのがスタンダードで、留学生の私でも月払いを受け入れてくれる所を探すのに一苦労しました。

 

学校が始まり「ジェンセン先生のもと沢山練習して学ぶんだ!」と意気込んでいたものの、一般科目の授業の多さと、初めての海外での一人暮らしの大変さに、理想と現実のギャップを否応なしに叩きつけられて激しく動揺した事をよく覚えています。

 

そんな事を考えますと、今では問題なく授業についていけるようになり(勿論、未だに勉強に時間がかかりますが…)、学校でも主義主張のはっきりした多国籍の人々に負けないよう勇気を出して発言できるようになった事は、私にとりまして大きな成長だと少し嬉しく感じております。

 

 

 

また、私の大学生活の中で特に2つの時期に大きな学びを得る事ができたと思っております。

 

1つ目は新型コロナウイルスのパンデミック中です。

私の留学2年目からの1年半はコロナ禍という事でオンライン授業でした。ほとんどの留学生が帰国し、もれなく私も一時帰国しておりましたが、北米とアジアの時差の関係で日本の夜中に授業を、真夜中から早朝にwebレッスンをを受け、そのままコンクールやコンサートの準備のため日中は東京に通うといった、人生で一番目まぐるしい日々を過ごしていたと思います。

 

コロナ禍の学習環境には不安が多かった私ですが、指導に時間を捧げてくださる教育熱心な先生方のおかげで、時間をかけて自分自身と向き合いながら、より明確なビジョンを持ち、そこに向けて日々一歩ずつ踏み出し続けれた事が、コロナ禍でありながらも私の大きな成長と私自身に対しましても多少の自信を持てる事に繋がりました。

 

2つ目は、ロームミュージックファンデーションの奨学生としてのこの1年だったと思います。

特に昨年は大きなホールで沢山のリサイタルの機会に恵まれ、またCDやDVDのレコーディングの機会も頂き、新たな経験をさせて頂いた事で多面的な視点を少しずつ得る事ができました。

また、1つの1つの演奏会を通して、聴衆の皆様と音楽を共有する楽しさや嬉しさを、より一層噛み締める事が出来るようになったと感じます。これからも「音」「音楽」という言葉を通して力強いメッセージを伝えられる音楽家になれるように頑張り続けたいと更に強く思えるようになり、とても充実した1年となりました。

 

 

総合的に大学生活を振り返ってみますと、沢山の失敗もあったように思いますが、今となりましては、それも私にとっては良い経験であり、学びであったと自信をもって言える程に、ただただ必死に走り続けた大学生活であったと思います。

 

パンデミックの中、未来が見えず不安に思う時も、思う存分に学ぶ事が出来るよう、大学生活を完走出来るようサポート下さったロームミュージックファンデーションの皆様にこの場をお借りしまして改めて御礼申し上げます。本当に有難うございました。