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イタリアンバロック 聖地巡礼(上島 緑さん)11/1

上島 緑さん/Ms. Midori Kamishima
(専攻楽器メゾソプラノ/mezzo soprano)

[ 2022.11.11 ]

クレモナ モンテヴェルディ音楽院

ローム ミュージック ファンデーション奨学生のメゾソプラノ上島 緑です。
現在イタリア クレモナ モンテヴェルディ音楽院そしてヴェネツィアのアカデミア ヴィヴァルディアーナで研鑽を積んでいます。

 

クレモナはヴァイオリンの町として広く知られ、ストラディヴァリウスを身近に接する事のできる環境は、300 年かけて名器となっていったように、歌い手も限りある人生の中で常に進化し磨かれる楽器でありたいと思わせてくれます。

 

<クレモナ大聖堂 イタリア>

 

 

今年6 月には、モンテヴェルディの出生地クレモナで毎夏開催されるバロック音楽祭 モンテヴェルディ・フェスティバルに現代では初演となるバロック時代の作曲家ガルッピの「トビーアの帰還」のソリストとして出演し、地元新聞にも大きく取り上げられ大成功を果たす事ができました。

 

そしてこの成功を受け、10月ガルッピの生まれ故郷ヴェネツィアで長い歴史を持つガルッピ・フェスティバルでの再公演も決まり、モンテヴェルディが眠る教会のお隣、画家ティントレットが20 年の歳月を費やした絵画装飾が壁や天井を埋め尽くすスクオーラ・グランデ・ディ・サンロッコ「ティントレットの間」でも歌わせていただく事ができました。

 

<ヴェネツィア スクオーラ・グランデ・ディ・サンロッコ「ティントレットの間」でのリハーサル>

 

 

また今年は、ヴィヴァルディの生まれた町ヴェネツィアで昨年より開催が決まり注目を浴びているヴィヴァルディ・フェスティバルにオペラ「グリゼルダ」からタイトルロールを演奏させていただきました。
昨年の記念すべき第1 回目からお声をかけていただき、出演はジョルジョ・チーニ財団アカデミア・ヴィヴァルディアーナで研鑽をつんだ歌手から選ばれます。

 

このアカデミアはヴェネツィアの文化芸術に関する研究を促進することを目的としたジョルジョ・チーニ財団の支援を受け、審査で選ばれたアーティストは財団が所有するレジデンス、マスタークラス、世界的に有名な図書館、ヴィヴァルディの貴重な楽譜などを自由に利用する事ができる権利が与えられます。

 

また財団のあるサン・ジョルジョ・マッジョーレ島は、1950 年代に女優のキャサリン・ヘップバーンが「世界で最も美しい劇場」と評したグリーン・シアターも有名で、サン・マルコ広場の目の前、かつてヴィヴァルディが司祭として働いていた教会を見渡す場所に位置します。

 

<ため息橋※から対岸に見えるサン・ジョルジョ・マッジョーレ島>

 

 

クレモナとヴェネツィア、それぞれの作曲家の生まれ故郷、そしてバロックの聖地でもあるこの地において勉強そして演奏家としても研鑽を積ませていただける事に感謝し、更に精進して参りたいと思います。

 

<ヴェネツィア ヴィヴァルディ・フェスティバル「ヴィヴァルディ オペラアリア コンサート」にて>

 

 

※ドゥカーレ宮殿と旧監獄を結ぶ運河に架かる橋。この橋を渡り監獄に入れられた罪人たちが、橋の上で最後のヴェネツィアの景色に別れを告げため息をつくことからその名がつけられた。