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2022年度を振り返って(望月 晶さん)7/6

望月 晶さん/Ms. Aki Mochizuki
(専攻楽器ピアノ/piano)

[ 2023.07.21 ]

桐朋学園大学大学院修士課程

ロームミュージックファンデーション奨学生の望月晶です。

2022年度、多大なるご支援を賜りましたロームミュージックファンデーション様には、心より御礼申し上げます。

 

<ピアノトリオの様子>

 

 

2022年度は、修士課程に進学してより専門的な研究に取り組んだり、本格的に様々な現場へ参画することで、新たな視座を得ることができた一年でした。

 

3月には、ベードーヴェンの「不滅の恋人」と、彼と関係性が深かった人物に献呈された楽曲を取り上げた、朗読劇とクラシックコンサートを融合させた舞台に出演しました。

ベートーヴェンの弟子が、彼の遺した手紙をもとに、身元が明らかになっていなかった不滅の恋人を探すという流れの脚本で、普段クラシックを聴く機会の少ないお客様にも楽しんでいただけるよう様々な工夫が凝らされた舞台でした。

俳優さんたちの朗読の間合いや、SE、照明や音声などの舞台装置を間近で見ることができ、隅から隅までとても勉強になりました。

 

<舞台公演の様子>

 

 

4月からは、本格的に論文の執筆にあたっています。

フランス第二帝政期の音楽教育が、どのような影響をフォーレにもたらし、のちにフォーレの手によって行われるパリ音楽院の教育改革へと繋がっていくのか、様々な角度から物事を見ることを求められています。

論文指導では、普段当たり前に手に取ることのできる書籍をはじめとした情報が、誰の手によって、どのように保管されているのかなどから、音楽学の分野がどれほど演奏家を支えているのかを体感しています。

 

年明けには、執筆した論文をもとに演奏審査を控えているので、引き続き更なる検証や比較、実践をしてく所存です。

 

 

本年は、辛いこともあった一年でした。

年始めに、敬愛する小森谷泉先生が急逝されました。

10年に渡って、私の音楽の指針となってくださり、その広い背中に憧れ続けてここまで音楽を学んでこられたと思っています。

 

<小森谷泉先生>

 

 

また、初夏に差し掛かる頃に、5年間ピアノトリオを組んでいた大切な音楽仲間が亡くなりました。

彼と共に過ごした時間、一緒につくった音楽は、これから先私たちの手によって繋いでいき、やがて誰かの助けになるように巡らせて行かなければなりません。

 

昨今、世界では戦争や不景気、病気など、当たり前の生活を送ることが難しくなっていると思います。

音楽を続けられていることは、本当に恵まれているのだと、骨身に沁みて感じています。

その気持ちを忘れずに、これから先も着実に自分の枝を伸ばしていきたいです。