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留学を始めて(佐々木 つくしさん)8/27

佐々木 つくしさん/Ms. Tsukushi Sasaki
(専攻楽器ヴァイオリン/violin)

[ 2023.09.8 ]

リューベック音楽大学

ローム ミュージック ファンデーション奨学生の佐々木つくしです。

今年の3月に東京藝術大学を卒業し、4月から北ドイツのリューベック音楽大学に在籍しています。

 

リューベックはバルト海に面していて、かつては北海およびバルト海沿岸地域の貿易を掌握していたハンザ同盟の盟主として栄えていました。

今でも旧市街として当時の街並みが残っており、歴史を身近に感じることのできるとても素敵な街です。

 

<リューベックの街並み>

 

 

私が4月から9月まで在籍していたKontaktstudium(準備課程)はリューベックにしかない制度で、ソロのレッスンのみが受けられます。

私は冬に行われた入試がスケジュール的に受けられなかったため、最初はKontaktstudiumの学生として入学しました。

 

ドイツの新しい生活はどこを切り取っても新鮮であると同時に、幾度となく壁にぶつかりました。

特に渡独したばかりの4月は、家探し、引っ越し、初めての一人暮らし、入学手続き、新しいコミュニティに加え、国際コンクールの準備もしていたため、非常に目まぐるしかったです。

 

ですが何より、周りの先生方や友達が心から音楽を楽しんでいる様子に感化され、コンクールではのびのびと自分らしく演奏することができました。

残念ながらファイナルでの入賞は逃しましたが、審査員全員から講評をいただき、自分の強みと改善すべき点が明確になった良い機会となりました。

 

<アンリマルトーコンクールのガラコンサート>

 

 

その後はビザの申請で苦しみながらも少しずつ生活に慣れていき、毎週の試演会や半年に2回の公開クラスコンサート、室内オーケストラに助っ人として参加するなど、充実した学生生活を送ることができました。

 

留学して一番強く感じたのは、音楽は言語や文化と密接に関係しているということです。

例えばドイツ語を話すときのリズム感や発音はドイツ音楽の中にも見て取れますし、曲の様式はその時代の社会なども反映しています。

また、実際に作曲家が生きた場所を訪れてみることは豊かなインスピレーションの源になります。

まだ半年しか経っていませんが、留学して本当によかったです。

 

<クラスコンサート終演後、師匠のHeime Müller先生と>

 

 

10月からは、いよいよ修士課程が始まります。

ソロのレッスンに加え、私の大好きな室内楽のレッスンも受けることができるので、とても楽しみです。

学内でも学外でも色々と演奏のチャンスをいただけるよう日々努力するとともに、今ドイツで学べることはすべて吸収し、自分の糧にしていきたいです。

 

<リューベックの街並み>

 

 

デジタルが普及する今日、息抜きさえもデジタル上で行う人々が増えてきていると思います。

コロナ禍ではそれに救われた部分も大きいですが、日常が戻り始めたころにライブの演奏を再び味わうことのできたときのあの感動はやはり強烈なものでした。

音楽の底知れない魅力を一人でも多くの人に届けらるよう、今後も邁進していきたいと思います。