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新たな発見と広がる可能性(谷 昂登さん)8/31

谷 昂登さん/Mr.Akito Tani
(専攻楽器ピアノ/piano)

[ 2023.09.15 ]

桐朋学園大学ソリスト・ディプロマコース

ローム ミュージック ファンデーション奨学生の谷昂登です。

2021,2022 年度の奨学生として、多大なご支援をくださったロームミュージックファンデーション様には大変感謝しております。

 

<「MAROワールド」でフックス:ピアノ四重奏第1番を演奏している様子>

 

 

この数ヶ月は、いろいろな意味で新しいことに挑戦する機会に恵まれました。

 

まずは、4 月に王子ホールで行われた「 MARO ワールド」に出演しました。

そのコンサートで取り組んだ作曲家はロベルト・フックスでした。

この作曲家は日本ではあまり有名ではないですが、ブラームス等の影響を受けた作曲家でもあり、ウィーンの素晴らしい伝統を受け継いでいる作曲家です。

あまり知られていない作曲家を取り上げて、コンサートができることはク ラシック音楽の一つの醍醐味でもあり、新たな可能性を見つけることのできる第一歩だと感じました。

 

そしてそのような経験がある中で、6 月には新潟りゅうとぴあコンサートホールにてリサイタルを開催し「民族・民謡」をテーマとしたプログラムを組みました。

この数年で変わってきたことは、リサイタル等で、コンクールの参加に左右されず、自分で意図を持ったプログラムをしっかりと組み、聴衆の皆様にその意味合いを音楽で感じてもらえるように心がけるように なったことです。

そうすることで、自分自身が何を学ぶべきか、どのような知識が必要かが明 確になっていき、より有意義な時間を過ごせるようになってきました。

 

そして私自身、以前はロシア音楽を深く勉強していましたが、勉強していく中でロシアの作曲家がドイツの作曲家と大きく繋がっているように感じたこともあり、ドイツ音楽に非常に興味を持つようになりました。

そこで、留学についてもドイツで学ぶことを考え、縁あってケルン音楽大学で勉強することも決まりました。

これからドイツ音楽を中心に学んでいき、レパートリーを広げていければと考えています。

 

<グイド・マリア・グイーダ氏との写真>

 

この数ヶ月で経験できたもう一つの大きなことは、オーケストラとの協奏曲の演奏です。

5 月には関西フィルハーモニーとグリーグを、 8 月にはパシフィックフィルハーモニア東京とブラームスの 2 番を共演しました。

北欧の作曲家であるグリーグは初めて取り組む作曲家でとても新鮮でしたが、独特の世界観と共にドイツ音楽との共通点なども見つけることができました。

 

そしてブラームスの 2 番は、まるで交響曲のような大曲で、準備することは大変でしたが、指揮者がイタリアのマエストロ、グイド・マリア・グイーダさんでリハーサルから細部にわたって創り上 げることができ、この 2 年間で得たアンサンブルの経験が活きた瞬間でもありま した。

 

 

これからドイツ、ケルンで学び、自分自身の可能性を広げ、より深くクラシック音楽を学んでいきたいと思っています。