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新しい風を感じながら(鳥羽 咲音さん)8/31

鳥羽 咲音さん/Ms. Sakura Toba
(専攻楽器チェロ/cello)

[ 2023.09.22 ]

ベルリン芸術大学

ローム ミュージック ファンデーション奨学生の鳥羽 咲音です。

まずは2021年から2023年にかけまして、多大なるご支援を賜りまして感謝申し上げます。

 

<Mutter’s Virtuosi at Musikverein 23/6/2023>

 

 

ローム様の奨学金に応募致しましたときは15歳の時でした。

受けた際にはまだコロナの真っ只中で実技と面接もオンラインで、新しい形の試験にとても緊張していた事を覚えております。

実際に頂けることになった際にはこのお支えで音楽に集中できると安堵と共に次なる目標が明確になりました。

面接の際、この奨学金でどのような事に挑戦したいですかと聞かれました際、ドイツに留学したいこと、そして世界で活躍できる音楽家になりたいと申し上げました。

そしてその一つの目標が昨年の4月から叶っております。

 

ドイツのベルリンを留学先に選びましたのは、勉強したい先生がいらっしゃるのとレベルが非常に高いと周りから聞いていたからです。

正直最初は行ってみたらなんとかなるかなと思っておりましたが、そのような甘い考えはレッスンやマスタークラスを受講してガラッと変わりました。

そしてそんな厳しくも勢いのあるドイツ、「ベルリン」に導いて下さったのはローム様のご支援があってです。

 

 

実は今年の1月からフランス製の「Vuillaume」という楽器をヴァイオリニストのアンネ=ゾフィー・ムターさんの財団から貸して頂けることになりました。

また6月には、Virtuosi Tour というムターさんを中心に合計で12名の室内楽オケに参加致しました。

ドイツをはじめ、トルコ、ギリシャ、イタリア、オーストリアの5カ国を周り、2週間で11回のコンサートに出演致しました。

このVirtuosi Tour は10年以上続いているツアーで主に古典派の音楽を中心とした曲(バッハのブランデンブルク協奏曲、バッハのヴァイオリンコンチェルトなど)を演奏します。

小さい頃からムターさんに憧れていましたのでこうしてムターさんの近くでオケのメンバーとして彼女を支えられましたことは大変幸せでした。

 

ツアー中の思い出は沢山ありどこからお伝えして良いのか迷いますが、1番の思い出は素晴らしいメンバーと共に各国の大ホールで演奏できたことでした。

ですが毎日のように移動、リハーサル、本番の繰り返しでときには10時間以上移動をしていたり、またある日は2時間しか眠れず目がくらくらする中でのリハーサル、本番、きちんと栄養のある食事がとるのが難しい中での演奏会続きでしたのでいかに限られた時間の中で自分の練習や体、健康管理を保つのか考えさせられました。

また1人でヨーロッパを行動するのも初めてで、チェロを担いで大きいスーツケースと小さいスーツケースを引きずりながら空港内や電車で移動するのは緊張してずっとドキドキしていましたが、他のメンバーに助けられながらもなんとか緊張の2週間を乗り越えることができ感謝しています。

9月2日から14日まではイタリア、ドイツ、リヒテンシュタインを周り、5回の演奏会で演奏致します。

 

そして練習の休憩時間やリフレッシュしたい際には、友達や先生と集まって、卓球を学校の先生の部屋でプレイしています。

 

  • <イエンス=ペーター・マインツ先生の門下生と>

 

 

円安がどんどんと進んでいく中、そしてコロナで世界中の経済が不安定な中、演奏家になるための最初のステップ(留学)を支援してくださいましたこと、感謝してもしきれません。

ローム様からいただいたご支援は経済的にだけではなく沢山の出会いももたらしてくれました。

ドイツのチェロの先生との出会い、新しい学校でのお友達、アンネ=ゾフィー・ムターさん、そしてVirtuosi のメンバー、他にも沢山の方、そして新しい国にも訪れて新たな可能性を感じさせて下さいました。

 

 

ローム様の奨学生になれましたことは大変光栄でございました。

これからは卒業生としてローム様の名に恥じぬよう精進してまいりたいと思います。

 

  • <読響 夏の3大協奏曲シリーズにて ドヴォルジャーク:チェロ協奏曲>