留学のはじまり(室元 拓人さん)1/7
室元 拓人さん/Mr. Takuto Muromoto
(専攻楽器作曲/Composition)
[ 2024.01.19 ]
ブローニュ=ビヤンクール地方音楽院
ローム ミュージック ファンデーション奨学生の室元拓人です。
日頃より多大なるご支援を賜り、心より感謝申し上げます。
<ステイ先、パリ近郊・ヴァンセンヌの街並み>
お蔭様で念願の留学生活がスタートし、学業と創作活動に励んでおります。
現在師事しているジャン=リュック・エルヴェ先生とのレッスンでは、作品の構成要素を分解し客観的に見つめ直すことで、アイデアをいかにして音楽へと昇華するか、ということを学んでいます。
現在は弦楽四重奏曲に取り組んでおり、室内楽科の学生に試演をしてもらいながら細かな奏法についても突き詰めた議論を交わす日々です。
レッスンでの学びを活かし試行錯誤を重ねながら、年度末の発表に向け制作を進めてまいります。
<制作中の弦楽四重奏曲と、コンセプトを記したノート>
10〜11月には、休暇を活かし、ヨーロッパ各地で多様な音楽的文脈に触れることができました。
10月初旬、オーストリアのグラーツを訪れ、現代音楽祭ムズィークプロトコルを鑑賞しました。
「生物学的プロセス」をテーマに掲げたクラングフォルム・ヴィーンの演奏会では、パフォーマンスを含む器楽作品が並びましたが、それらが単に視覚的な効果に留まることなく、音響的にも豊かで説得力があり、印象深い体験でした。
<グラーツにて、現代音楽祭・ムズィークプロトコル>
11月下旬には、作曲家オドレイ・アダメクのマスタークラスに選抜され、イタリアのローマに赴きました。
14名の多様な国籍の受講生とともに学んだ1週間では、作曲法に関する講義のみならず、自作品についてプレゼンテーションをする機会もいただき、貴重な経験となりました。
指揮者でもあるアダメクさんからは、作曲者自身も実際の演奏行為を常に意識しながら創作と向き合うことを学びました。
<ローマにて、オドレイ・アダメクのマスタークラス>
今後半年間は、音楽院での作品発表とともに、ソロ作品や室内オーケストラ作品を作曲する機会もいただいております。
ご支援をもとに学び続けられることへの感謝を胸に、引き続き創作活動に邁進してまいります。