半年間の振り返り(牛田 智大さん)3/31
牛田 智大さん/Mr. Tomoharu Ushida
(専攻楽器ピアノ/piano)
[ 2024.04.5 ]
フレデリック・ショパン音楽大学
ロームミュージックファンデーション2023年度奨学生の牛田 智大です。
まずこの場をお借りして、半年間にわたり力強いご支援をいただきましたことへ改めて感謝を申し上げます。
いくつかのソロ作品をはじめ、モーツァルト、シューマン、そして昨年がアニバーサリーだったラフマニノフのピアノ協奏曲に取り組み、その過程で多くの学びを得ることができました。
<ワルシャワ空港のロビー。誰でも弾けるピアノが置いてあり、時折練習しています>
数シーズン前に取り組んだ作品を再び演奏するとき、私はいつも改めていちから楽譜を読み直し、すべてを新しくして、まったく新鮮な感覚で取り組みたいと考えています。
過ぎ去った数シーズンの間に自らが使えるテクニックや指遣いの選択肢は大きく増えていますし、楽譜にある情報へのアプローチや注意深さも大きく変わっている(と思い込んでいる!)からです。
しかしこれは私にとって意外に難しいことです。
最初は嬉々として勉強を始めるのですが、本番が近づいて精神的に追い込まれてくると、どういうわけか数シーズン前に取り組んだときの記憶が戻って思考を妨げはじめます。
演奏しながら不安を感じるようになったり「前のやり方のほうがよかっただろうか」という迷いが生じたり・・・
私の場合は、それらが結果として音楽の新鮮さや、いわゆる「初期衝動」的な感覚を失うことにつながるのです。
注意深く繰り返し練習すること以外に克服する方法はないのですが、ときおりなにかのきっかけで呪縛から一気に解き放たれることもあります。
それは素晴らしい演奏に触れたときであったり、興味深いレッスンを受けたときであったりすることが多く、外部から受ける刺激には大きな力があるのかもしれません。
奨学生としての残りの半年間も、そんな刺激を大切にしながら精進していきたいと思います。
<ワルシャワのビスワ川沿いの景色。晴天日に散歩をするとリフレッシュできます>